みほー１ いや別に有名とかテレビに出るとかではなくて。

　いや別に有名とかテレビに出るとかではなくて。 これだって恥ずかしいんです。やめてください・・・。

　私はみほ。

　よく「三歩で忘れる鳥頭」と言うが、私もそうだ。
今も友達の蛙子と駅前で待ち合わせ２０分ばかし遅刻している。
だいたいこんな糞暑い夏に待ち合わせするか、普通。
クルマで迎えに来いっ！て、
あぁ、クルマなんて持っている友達いないし…。
バスがあるだけでも幸せよね。
あっ、いたいた。

　まったく蛙子は蛙子である。
ケンタの前でヤンキー座りかよ。
だから、蛙子なんて言われちゃうのよ。
あれ？本名だっけかな？まぁ、いいや。

　「蛙子ーっ！」

　「あー、みほ、遅いわよ。お遅刻よ！お遅刻！」

　ヤンキー座りの蛙子。実は音大のお嬢様。
まぁ、音大出ても就職先があるか、どうか。

　「ゴメンねぇ。課題のデッサンしててさぁ」

　そういう私もデザイン専門校の写真学科。
見た目はふたりとも、悪そうでも賢そうでもない。
小さくて細っこく、更に幼い顔立ち。

　一度なんか、小学生男子にナンパされた。
まぁ可愛い感じで、ふたりして就職ヤバい系の
二十歳過ぎ、って感じ。

　「あら、大丈夫？卒業できるの」

　「うーん」

　「うーん、ってみほ、相変らずマイペースで素敵！」

　「まぁ、蛙子もそのおリボン、ファンシー！」

　「でね」

　案外、蛙子は話の展開が早い。

　「この夏、ふたりでデビューしちゃわない？」

　「デビュー！？芸人？」

　「違うわよ。シンガーソングライターでしてよ」


　「何それ？新しいネットビジネス？」

　「シンガー、歌手、ソング、歌、ライター、歌詞も作る！
今、流行ってるシンガーソングライターよ！」

　「シンガーソングライター？」


※シンガーソングライター（singer-songwriter）とは、
一般に大衆音楽において、
自作自演を行う者を指す(作詞や作曲、歌唱を単独で行う者)。…ウィキより

（参考資料）


　「僕の髪が肩まで伸びたら、結婚するのか？
　誰だ、こいつ？吉田拓郎？知らない・・・」